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権利能力・意思能力・制限能力



ここで取り上げる各能力制度の問題は、行政書士試験や公務員試験をはじめ各 資格試験において出題される可能性があります。それに何より、民法の至ると ころで出てきます。しっかりと勉強しましょう。

権利能力
今さら言うまでもないことですが、地球上にはいろいろな生き物がいます。生 き物は、何も人間だけとは限りません。当たり前ですね。

犬や猫などのペットを飼っている人は、庭に「ポチの家」と書いた犬小屋をつ くったり、「ポチの骨」などと書いたモノを与えたりして、かわいがっている ことと思います(「ポチ」とは犬の名前です。別に何でもいいのですが、ベタ ですみません。)。

この場合、犬小屋や骨の所有権が、ポチにあるような気がしますよね。

確かに、飼主の心情的には、そのとおりです。

しかし、法律的には違います。法律上、所有権者となることができるものは 決まっています。これを「法人格」と言います。この「法人格」のことを「権 利能力」とも言います。

この、「権利能力を有する」ということは、所有権以外の様々な権利(賃借 権とか抵当権など)を有することもできます。また、義務やら債務(債務とは、 何かをやれと請求されることです)やらを、負担することにもなります。

権利能力を有する者は、自然人と法人です。自然人というのは、私たちのこ とです。つまり「人」です。「人」をどう解するかについても、いろいろな問 題があるのですが、とりあえず、私たち「人間」を思い描いて下さい。

法人についても、いろいろあるのですが、法人の代表例としては、まずは 「会社」を思い描いて下さい。

権利能力を有しているからこそ、所有権者になれるのです。ポチには、権利 能力がありません。ですから、犬小屋や骨の所有権者にはなれないのです。


意思能力・制限能力
「民法・総論」のところで、 民法の三大原則の一つとして、私的自治の原則ということをお話し致しました。 これは簡単に言えば、「当事者同士でそれでいいなら、それでいいじゃ ないか」というものでしたね。

ここでちょっと考えてみましょう。

「これでいいじゃないか」というためには、当事者の意思に基づいて、その ことについて、当事者がきちんと考えがおよばないとならないと思いませんか。 「これでいいじゃないか」という場合には、自分の利益を放棄する場合が含ま れます。自分では考えがおよんでいない(つまりわかっていない)にもかかわ らず、これでいいじゃないかと言って、利益を放棄することになってしまっては、 その人がかわいそうです。

ですから、そのためには、きちんとした意思をもっていなければならないこ とになります。これを意思能力といいます。だいたい小学校高学年ぐらいにな ると、この意思能力を有するものと考えられています。

意思能力を有していない者が行った行為は、無効です。赤ちゃんが間違えて 印鑑をついたからといって、なんらかの義務が発生するというのはおかしな話 だと思いますよね。

赤ちゃんのような場合は、わかりやすくてよいのですが、「きちんとした意 思」をもっていない状態というのは他にもあります。泥酔状態のような場合で す。

実際の社会における場面においては、当事者が後で意思能力がなかったこと を証明するのは、かなり難しいことになるかもしれませんし、面倒なことにな るかもしれません。

そこで、民法では、意思能力以外に制限能力者という制度を設け、これらの 者が行った行為を、原則として取り消すことができる行為としています。

制限能力者には、以下の4種類の者が当てはまります。

 1、未成年者
 2、成年被後見人
 3、被保佐人
 4、被補助者

例えば、未成年者が単独で売買契約を結んだような場合には、原則として取り 消すことができるわけです。
これら4種類については、最終的にはきちんと覚える必要がありますが、意識 して覚えようとしなくても、自然と覚えられます。



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