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時効完成と第三者




時効完成前の第三者

■事例1■
Aが土地を所有しています。時効期間が経過し、Bがこの土地を時効により取 得しました。
■   ■

まず、このとき、BはAに対して当該土地の登記なくして、土地の所有権を主 張できます。AとBは当事者の関係にあるからです。当事者間では、登記は不 要ですね。

では時効完成前に、AからCに売買により所有権が移転していたらどうでしょ うか。この場合、時効が完成した後に、BはCに対して登記なくして所有権を 主張できるでしょうか。

結論から言いますと、Bは登記なくしてCに対して所有権を主張できます。

時効完成前には、Bとしては所有権を有していませんから、登記を具備するこ とは不可能です。「所有権登記」というものは、所有権を取得した結果、具備 することができるものです。

ですから時効完成前は、所有権を取得していないBが登記を具備することは、 できません。時効完成後に、Bは所有権を取得しますから、Cに対して登記を 移転することを請求できます。

つまりBとCは、当事者の関係になるわけです。事例1のような場合には、C はAの立場を引き継ぐことになるわけです。

よって、Bは登記なくしてCに土地の所有権を主張できることになるわけです。


時効完成後の第三者

■事例2■
Aが土地を所有しています。時効期間が経過し、Bがこの土地を時効により取 得しました。Bの時効完成後に、CがAから売買により所有権を取得しました。
■   ■

この場合はどうでしょうか。この場合も、Bは登記なくして、Cに所有権を主 張できるのでしょうか。

結論を言いますと、この場合は、Bは登記を具備しなければ、Cに対して所有 権を主張できません。時効の完成により、AからBへ所有権が移転します。そ して、売買により、AからCへ所有権が移転します。つまり、「AからBへ」、 「AからCへ」と、二重譲渡がなされたことになるわけです。この場合Bとし ては、時効が完成した時点で、登記を具備できるチャンスがあるわけです。に もかかわらず、Bは登記を具備しなかったわけです。ですから、登記を具備し ていないことによって、保護されなかったとしても、仕方がないのです。ここ が事例1の場合と、異なります。

よって、BとCとは対抗関係にたつので、登記が必要となります。


時効完成前と完成後とでは、結論が異なります。忘れずに覚えておいて下さい。



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