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不法原因給付



出題される可能性は、あまり高くないかもしれませんが、ここでは不法原因給付 を取り上げます。

公務員試験をめざしている方は別ですが、行政書士試験をめざしている方は、合 格して実務に就いてからを考えると、この不法原因給付は知っておいたほうがい いかも知れません。


不法原因給付は、「ふほうげんいんきゅうふ」と読みます。「不法」と言うのは、 公序良俗違反の場合のことを言います。つまり不法原因給付というのは、「公序 良俗違反を原因としてなした給付」のことです。「給付」と言うのは、簡単に言 えば、あげたり、渡したりすることです。

この公序良俗違反を原因として給付をした場合、公序良俗違反なわけですから原 因は無効となって、給付者は給付したものを返還しうるはずです。

でも、公序良俗違反という反社会的な行為をした者が、法の助けを借りて「返し て」と主張することは、認められるべきではありません。

ですので、この場合、原因が無効であるにもかかわらず、返還請求をすることは 出来ないことになっています。

具体的には、次のような事例です。

甲男と乙女が不倫関係にあり、その関係を続けることを条件にして、甲男が乙女 にダイヤをプレゼントしました。ところが乙女が不倫を続けることを拒んだとし ます。この場合、甲男は乙女にダイヤの返還を請求出来ません。

これは、原因が不倫関係を続けるという、公序良俗違反にあたるからです。

ところで、どのような「給付」があったと言えるには、どのようなことがあれば よいかが問題となっています。

まず、動産の場合には、引渡があることです。

問題は不動産の場合です。未登記不動産の場合には、引渡があることが必要です。 登記不動産の場合には、引渡だけでは足りずに、登記が必要です。

なお、不法原因給付の結果、返還請求できないことになりますと、その反射的効 果として所有権はもらった人に移ります(先ほどの例で言いますと、乙女)。



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