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請負



請負は委任とともに、債権各論の中では比較的出題される可能性のある分野で す。もちろん売買や賃貸借ほどではありませんが・・・。ただ、請負だけの問 題が、一問出題される可能性もあると思います。きちんと押さえておきましょ う。これは行政書士試験や公務員試験、法学検定などのどの試験においても言 えることです。


総論
次の事例を前提とします。


■事例■
Aは自宅を建てるため、大工のBに住宅の建築を依頼しました。
■  ■


「請負」という言葉を、皆さんも聞いたことがあると思います。事例のような 大工さんが、その典型例です。事例のような場合、Aのことを注文者、Bのこ とを請負人といいます。

請負とは、請負人が仕事を完成し、注文者がその完成に対してお金を払うこと を約束することです。

事例に当てはめると、BはAから注文を受けて住宅を建築し(仕事を完成し)、 Aに引き渡す、Aは建築費用をBに支払う(お金を払う。条文上は「報酬」と なっています)、ということになります。

この場合、時系列的に言うと、建物が完成し、Bが完成した建物を引き渡して お金の支払いがなされるわけです。つまり、建物の完成が、まず先になされま す。そして、建物の引渡しとお金の支払いが同時履行の関係にたちます。

なお、建物の完成と代金の支払いは同時履行の関係にたちません。ですから、 請負人としては、「建物を完成してほしければ、代金の支払いと同時だ!」 とは、言えないことになります。

これは、お金を支払ったのに、建物を引き渡してもらえないとなると、注文者 に酷だからです。


瑕疵担保責任
瑕疵担保責任は、売買のところにも規定があります。請負の瑕疵担保責任の規 定は、売買と異なります。請負の瑕疵担保責任は、売買のところの瑕疵担保責 任の特則です。ポイントとなりそうな箇所を、以下で見ていきたいと思います。

まず、当事者間で瑕疵担保責任を負わない旨の特約を結んだ場合、その特約自 体は有効です。

但し、この特約を結んだとしても、請負人が、瑕疵があることを知りながら、 相手方(注文者です)に告げなかった場合には、請負人は依然として責任を負 うことになります。請負人が瑕疵の存在を知っているのであれば、それを告げ るのが、契約当事者間における誠実な態度だと思いますよね。

まず、上記の事例のような建物の請負の場合は、解除できません。

これは、建物の請負において解除を認めると、社会経済上の損害が大きいから です。建物を建てると金額が大きくなりますよね。時間もかかりますしね。そ の解除を認めると、請負人としてはその建物を壊さなくてはならなくなります。 なぜかと言えば、土地は請負人のものではないので、他人の土地に請負人の建 物が建っていることになります。それは他人の権利を侵害していることになり ます。ですから侵害しないようにするためには、建物を壊す必要があるわけで す。それは、社会的に見て損害が大きいわけです。

したがって、建物の請負の場合、解除はできないわけです。

なお、正確には、解除できないのは建物に限らず、「土地の工作物」となりま す。

そして、請負の瑕疵担保責任は、その主張できる期間も売買と異なります。

請負の瑕疵担保責任の場合、主張期間は目的物の引渡しから1年です。

先ほど、契約の解除につき、建物などの土地の工作物の特則がありました。こ こでもあります。建物などの土地の工作物の場合には、引渡しの時から5年間 責任を負います。さらに、石造、土造などの工作物(要するに丈夫な工作物で す)の場合には、引渡しから10年です。


以上、瑕疵担保責任を中心として、請負を見てきました。ここら辺の分野に、 あまり時間をかけられないかと思いますが、ポイントだけでもしっかりと押さ えておいて下さい。



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