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単純保証



保証には、単純保証と連帯保証の二種類があります。いずれも重要で行政書士試験、 公務員試験を問わず、頻出事項です。他の試験においても、よく出題されています。 しっかりと勉強しておいて下さい。まずここでは単純保証について取り上げます。


意義
保証はまさに担保です。人的担保です。ですから、物的担保である担保物権と、同 じような話が出てきます。
まず、次の事例を見てみましょう。

■事例■
AがBにお金を貸しました。このとき、Bがお金をきちんと返せればよいのですが、 Bの資力に対してAは不安をもっています。そこで、Bがお金を返せなかったとき は、Cに返してもらおうとAは考えました。Cはそれを了解しました。
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事例のような場合、Cのことを保証人と言います。ちなみにAのことを債権者、B のことを債務者(又は主たる債務者)と言います。このような場合、「CはBの債 務を保証する」という言い方をします。

そして、Bが負担している債務のことを主債務、Cが負担している債務のことを保 証債務と言います。保証債務は、主債務に従たる債務ですが、主たる債務とは別個 の債務です。

ここで大事な事があります。Cの保証債務というのは、AとCとの間の契約によっ て成立するものです。つまり、債権者と保証人の間の契約によって成立するのです。 よく債務者と保証人の間、つまりBとCとの間の契約と勘違いする方がいますが、 間違えないで下さい。

通常、債務者から保証人に対して、「保証人になってくれ!」というようなお願い がなされるかと思います。

でも、これは保証契約の成立には、影響ありません。

もし、保証人Cと債権者Aとの間で、債務者Bに内緒で保証契約を締結したとして も、問題ありません。なぜなら、保証人Cが負担する保証債務は、Aを債権者とし Cを債務者(保証債務の債務者という意味)として成立するものですので、AC間 で契約する必要がありますし、Bに内緒で契約したとしてもかまわないからです。

保証債務というのは、主債務(BのAに対する債務です)があってはじめて成り立 つものです。主債務がなくて、保証債務だけがあるというものはありません。これ を保証債務の附従性と言います。例えば主債務が弁済によって消滅すれば、保証債 務も附従性によって消滅します。さらに、AB間の債権(主たる債務)が債権譲渡 によって移転すれば、保証債務も移転します。これを随伴性と言います。

担保物権のところでも同じことがありましたね。保証も担保である以上は、同じな のです。


抗弁
保証人というものは、本来債務者が払えなくなったときに、債務者の代わりに債権 者に対して支払う者です。ですから、債権者が、支払期限が到来したからと言って、 いきなり債務者ではなく保証人に対して、「払え!」と言いに行くことはできませ ん。

この場合には、保証人としては債権者に対して、「まず債務者に請求してくれ!」 と主張できます。これを「催告の抗弁権」と言います(452条)。

さらに、保証人としては、「債務者には、○○の貯金があるんだから、そこから簡 単に支払ってもらえるだろ!!」と主張することもできます。これを「検索の抗弁 権」と言います(453条)。


保証人にはこの2つの抗弁があります。以上2つの保証人の抗弁権については、覚 えておいて下さい。

この二つの抗弁権は、連帯保証との大きな違いです。見方を変えれば、債権者にし てみれば、この二つの抗弁権があることによって、単純保証は使いにくい(債権者 に不利)ということになります。


■確認■
「抗弁」(「こうべん」と読みます)とは、「反論する」とか「拒絶する」という ぐらいの意味です。
上記の場合、保証人は反論していますよね。それに債権者からの請求を拒絶してい ますよね。上記のように、反論したり拒絶したりできる権利のことを、抗弁権と言 います。
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