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相隣関係



住宅というものは、そこに一つだけ建っている場合もありますが、住宅地などを形成し、 ある程度集まって建っていることのほうが多いことと思います。都市部では、ほぼそう なっていますよね。

そのように、ある程度集まってくると、お隣さんというものができます。この場合、そ のお隣さんとの関係を考えなくてはなりません。これが相隣関係です。

この分野は、わりと常識で考えると解けることが多いです。隣同士のことですから、常 識的なことを規定しているというのも、うなずけますよね。それに、そもそも民法は一 般市民生活について規定している法律ですから、あまり常識から離れた規定があっても 困りますしね。

ところで、お隣さん同士についての規定のことを、一般に相隣関係などと言います。この 相隣関係について、

「となりの木の枝が、塀をこえて伸びてきたらどうするの?」

という問題があります。このような点については、知っていないと解けないかもしれません。 それに、なんとなくこういうことを知っていると、法律を勉強している気になるのは私 だけでしょうか。家族や同僚などに対しても、「法律を知っている」と思わせることが 出来るような気がしてしまいます。まあ、それだけ身近な問題ですしね。

では、具体的にはどうなるのでしょうか。代表的な二つの場合につき、次で見ていきましょう。


隣の木の枝が、塀を越えてきた場合
隣の家の木の枝が、塀を越えてきた場合、「木の枝を切ってくれ!」と隣の人に請求できます。 請求ができるだけです。自分で勝手に切ってはいけません。
木の枝は、明らかに隣の家のモノです。木の枝の所有権は隣の家の人にあります。それ にもかかわらず、勝手に切ってしまっては、所有権侵害です。ですが、塀を越えてき ているので、自分の土地の上空を侵害しているとも言えます。ですから、切ってくれと いう請求が出来るのです。

これ、ちなみに柿の実でも同じですからね。塀を越えて生っている実は、勝手に取って 食べていいわけではないですからね。依然として隣の家のモノですからね。

もし仮に、隣人の柿の木が、塀を越えて実をなし、その実が自分の家の敷地に落ちたと しても、依然として柿の実の所有権は隣の家の人にあります。遊んでいるときに、ボール がどこかの家の庭に入ってしまったとしても、その家の人のボールにはならないのと同じです。

ですから、自分の家の敷地に隣の家の柿の実が落ちた場合、法律上は隣の家の人に返さ なければならないことになります。もし落ちた柿の実を勝手に食べてしまった場合、占 有離脱物横領罪になりますのでご注意を!(あくまで「法律上」の話です)

ただ、良好な隣人関係を築くためには、塀を越えて隣の家に枝が伸びそうだったら、早目 に切るのがいいのではないかと思いますけども。


隣の竹の根っこが、境界線を越えて伸びてきた場合
根っこが隣の家から伸びてきた場合には、勝手に切ってもよいことになっています。根っこ から、竹の子が生えてきた場合には、その竹の子は、生えてきた家のものです。ですから 勝手に切ることが出来ます。

上記二つの場合、どこから生えてきたかがポイントです。
木の枝は、隣の家から生えてきてますよね。
それに対して、隣の家の根っこが伸びて、自分の家の庭から芽が出てきた場合には、自分 の家の庭から生えてきています。もともとは隣の家の木だったとしても、自分の家の庭 から生えている以上、切ることができるわけです。切って、その竹の子を食べてしまって もいいわけです(食べられるなら)。

もちろん、良好な隣人関係を築くためには、一言言ってから切ったほうがいいかもしれ ませんよ。


いずれの場合についても、隣同士なわけですから、法律を持ち出す前に、両者の話し合い で解決が出来るのであれば、それに越したことはないと思います。



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