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双方代理・自己契約





■事例1■
Aは自己所有の土地を売るにあたり、Bを代理人に選任しました。他方、C もA所有の土地を買うにあたり、Bを代理人に選任しました。
■   ■

これが双方代理です。双方代理の場合、一人で両方の(双方の)代理人になる わけですから、BとしてはAかCかのいずれかに有利な契約を結ぶことが可能 です。そうすると、他方は著しく不利です。BがCに有利に契約を結ぶと、 Bを信頼して代理人に選任した、Aの利益が害されます。逆に、BがAに有利 に契約を結ぶと、Cの利益が害されます。


■事例2■
Aは自己所有の土地を売るにあたり、Bを代理人に選任しました。このとき、 Bは、自らが相手方となって売買契約を締結しました。
■   ■

これが自己契約です。自己契約の場合、Bはいくらでも自己の利益を図りう る立場にあります。人間、誰でも我が身かわいさに行動してしまうものです。 そうなると、やはりBを信頼して代理人に選任した、Aの利益が害されます。


上記2つの事例を見てもらってわかるかと思いますが、双方代理、自己契約 ともに本人(事例1、2におけるA、C)の利益が害される可能性が高いです。 そこで法は、双方代理、自己契約ともに無権代理ということにして、それぞれ AなりCなりの利益を保護しています。

無権代理というのは、簡単に言えば「代理権がない」ということです。

しかし、そもそも双方代理や自己契約を無権代理とするのは、本人の利益を 保護することが目的ですから、本人の同意があれば有効に契約は成立します。 不利益を受ける者が同意しているわけですから、問題ないわけです。

なお、「双方代理と自己契約はどうやって区別するのか」と疑問に思ってい る方がいるかと思います。これは登場人物の人数で区別します。事例1と事 例2を見てください。双方代理は3人登場しますが、自己契約は2人です。 図などを描いてみると、わかりやすいのではないでしょうか。



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