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根抵当権



根抵当権は、行政書士試験や公務員試験などでは、ほとんど出題されないかもしれません。実務的 は、よく使われている権利なのですが、試験という面では、司法書士試験を除いて、あまり出題可 能性が高いとは言えません。法学検定などでも、出題される可能性は高くないでしょう。ですが、 肢の一つとして出題されるかもしれませんし、またもし出題されたときに試験会場であわてないた めにも、一通りどのようなものか見ておきましょう。

なあ、根抵当権は、抵当権の理解が前提となってきます。ですので、きちんと抵当権を理解してお きましょう。


総論
抵当権の場合は、被担保債権が消滅すると抵当権も消滅します。したがって、いったんお金を返し 終わった後、またAがB銀行からお金を借りて、B銀行が担保を要求すれば、あらためて抵当権を 設定しなおす必要があります。附従性でしたね。

しかし、それってとても面倒だと思いませんか。手間隙かかりますし。一回一回、抵当権を設定し なおさないとならないわけですから。

そこで考え出されたのが、根抵当権です。

根抵当権の場合、一つの金銭消費貸借が返済されたとしても、根抵当権は消滅しません。
これは、根抵当権は極度額という一定の金額が定められ、その金額に至るまで債権債務を担保する 性質のものだからです。この極度額というものは、被担保債権の金額とは違います。簡単に言えば、 何回お金の貸し借りがあろうとも、この極度額に至るまで、根抵当権者は優先的にお金の返済を受 けられるという、いわば目安となる額です。
さらに債権の範囲というものも定められます。この債権の範囲とは、根抵当権によって担保される 債権が何かを決めるものの一つです。売買取引や銀行取引等のように規定されます。売買取引と規 定された場合には、賃貸借取引によって発生した債権は担保されません。AとB銀行の間に発生し た債権債務であれば、なんでも担保されるわけではないのです。

このような極度額や債権の範囲等といったものによって決められた、ある一定の範囲に属する債権 を担保するのが、根抵当権なのです。

例えば、AとB銀行との間で極度額1000万円、債権の範囲を銀行取引と定め、根抵当権を設定 したとします。この場合、AがB銀行との間で100万円を借りたとします。(第一取引)。 そして、一年後にその返済が終わったとします。さらにまた、100万円を借りたとします(第二 取引)。そうすると、第一取引、第二取引のいずれも、最初の根抵当権で担保されています。

このように、一つの金銭消費貸借が終わったとしても、根抵当権は消滅しないことを、「根抵当権 には附従性がない」といいます。

さらに、もし第一取引にかかる債権を、B銀行がC銀行に債権譲渡したとします。そうだとしても、 根抵当権は移転しません。これを「根抵当権には随伴性がない」といいます。

抵当権は、ある特定の債権と結びついて運命をともにしますが、根抵当権は特定の債権と結びつい ていないのです。これが重要です。特定の債権と結びつかない担保権として考え出されたのが、根 抵当権なのです。

ただし、根抵当権も「ある特定の債権を担保し、このあとからの債権は担保しない」という状態が いずれは到来します。これを元本の確定といいます。元本の確定が生じると、附従性や随伴性が生 じます。「元本の確定」という言葉と「元本の確定が生じると、附従性や随伴性が生じる」という ことは覚えておいて下さい。元本の確定が生じると、ほとんど抵当権と変わらなくなります。


利息について
抵当権の場合は、担保している利息は、最後の2年分でしたね(374条)。

しかし、根抵当権の場合は違います。根抵当権には極度額というものがあります。この極度額まで は、担保するのです。後順位抵当権者にしても、前の根抵当権者に極度額まではお金をもっていか れてもしょうがない、と考えているはずです。

したがって、3年分でも、4年分でも、極度額までは担保するのです。

例えば、極度額1000万円の根抵当権をA所有の土地に、B銀行が設定したとします。B銀行の 債権が500万円でしたが、利息がどんどんたまって5年分になってしまったとします。この場合 でも、当初の債権と利息を合わせた金額が、極度額1000万円の範囲内でしたら、根抵当権で担 保されるのです。


元本確定
根抵当権が担保する債権は不確定とは言っても、いつまででも不確定なわけではありません。どの 債権を担保するのかが、決まることを「根抵当権の元本確定」、または単に「元本確定」といいま す。
この元本確定が生じると、根抵当権はほぼ抵当権と同じ働きになります。よって、元本が確定する と附従性や随伴性が生じます。間違えないようにしてください。



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