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共同抵当



■事例1■
Aは土地と建物を所有していました。B銀行からお金を借りるにあたって、土 地と建物に抵当権を設定しました。
■   ■


このように、複数の不動産に抵当権を設定するのが共同抵当です。抵当となる 物件が複数あり、複数の不動産に共同して抵当権を設定するという場合です。 複数と言っても、いろいろありますね。土地と建物、土地と土地、建物と建物 などです。いずれの場合でも、複数の不動産に抵当権が設定されれば、共同抵 当になります。

事例の場合、競売がなされると、B銀行は土地と建物の代金両方から、お金を 返してもらえます。このように、両方からお金を返してもらえるところに、共 同抵当の意義があります。一つの不動産だけだと、貸したお金が全額回収でき ない場合がありますよね。でも複数の物件に抵当権を設定することによって、 貸したお金を回収できる可能性が高くなりますもんね。

ちなみに、競売の代金からお金を返してもらうことを「配当を受ける」と言い ます。


ここで、気をつけないといけないことがあります。上記の例は、土地と建物の 両方に抵当権を設定していた場合です。

次の場合とは区別しなければなりません。

■事例2■
Aがその所有する土地に、B銀行のために抵当権を設定しました。その後、A はその土地の上に、建物を建てました。
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このとき、B銀行が競売しようとするときは、B銀行は土地とともに抵当権の ついていない建物も同時に競売できます。

しかし、B銀行が配当を受けることのできるのは、土地の代金からのみです。 建物の代金から配当を受けることはできません。抵当権を設定しているのは、 土地だけだからです。

この場合に、抵当権のついていない建物も同時に競売できるのは、建物を壊す となると社会経済的に損失が著しいからです。なるべく建物を壊したくないと いうことです。

しかし、建物に抵当権を設定していない以上は、そこから配当を受けることは できません。当たり前ですよね。


法定地上権の場合もそうでしたが、いったん建物が建てられた以上は、壊すこ とはもったいないという考え方が、根底にはあるのです。そこで、抵当権者や ら競売人の権利を害さないならば、建物を残そうという方向になるわけです。


事例1と事例2の違いがわかりましたでしょうか。

事例1は、土地と建物の両方に、抵当権が設定されていた場合です。それに対 して事例2は、土地にしか抵当権が設定されていません。そこが違います。



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