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受領遅滞




債務を弁済する場合に、債権者の協力が必要な場合があります。この場合に、債務者が 債務の本旨にしたがった弁済をしたにもかからず、債権者が協力をしない場合を受領遅 滞といいます(413条)。例えば、ビールを買主の家に配達したのに、買主がそれを受 け取らないというような場合です。


受領遅滞が成立するための要件は、(1)債務者によって債務の本旨にしたがった弁済 の提供があること、(2)債権者が弁済の提供の受領を拒絶し、あるいは受領不能の状 態に陥ることの2つが必要です。なお、債権者の故意または過失が必要かについては争 いがありますが、判例は不要説にたっていると言われています(最判昭40年12月3日)。


受領遅滞の効果としては、以下のことが挙げられます。

1、債務者は履行遅滞責任を負わなくなります。
2、債務者は約定利息が発生しません。
3、債務者は供託することができます。
4、債権者は同時履行の抗弁権を主張できなくなります。
5、特定物の引渡しにおいて、債務者は注意義務が軽減されます。
6、保管にあたり費用がかかる場合には、債権者が負担することになります。
7、危険負担が債権者に移転します。


これらをすべて覚えるのは大変だと思います。ただ、一つ一つ見ていくと、「債務者と しては、とりあえずすべきことはしたので、これから先は責任を軽くしてあげよう」と いうことがおわかりかと思います。もし本試験で出題された場合に、効果を思い出せな かったりしたら、この視点から考えていくとよいのではないかと思います。


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