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遺産分割後の第三者




■事例■
平成18年1月1日に甲が死亡し、その相続人は甲の子であるAとBの二人で した。甲には相続財産として、不動産と現金がありました。
■  ■

事例において、遺産分割協議の結果、不動産はAが所有することになりました。 それにもかかわらず、Bが勝手に、Xに当該不動産を売却してしまいました。 この場合、Xは不動産の取得を、Aに対して主張できるのでしょうか。


ここで重要なのは、遺産分割協議の後に、BがXに売却したという点です。遺 産分割協議の前に処分した場合については、「遺産分割前の第三者」でお話し しましたね。そことの違いを、きちんと把握して下さいね。


(1)もともとはAの持分について
このAの持分だった部分については、遺産分割協議前の場合と同じです。もと もとはAの持分だった箇所が、遺産分割協議の結果も、Aの持分となったわけ です。よって、他人物売買となります。

したがって、Aは権利主張ができます。ですから、Xは主張できません。


(2)もともとはBの持分について
問題はこっちです。

まず前提として、そもそも遺産分割分割協議の結果は遡及するが、第三者の権 利を害することはできないという規定がありましたね。あのお話しが、ここで も当てはまりそうですね。

でも、あのお話しは、遺産分割前に第三者が登場するときのお話なのです。今 回のように、遺産分割後については当てはまらないのです。

では、遡及するのかというと、それも違います。遺産分割がなされると遡及す るのが原則ですが、この場合は遡及しないのです(これが、非常にわかりにく いところです)。

どのような扱いをしているのかというと、相続開始から遺産分割協議までBは 持分を有していたことにします。

そして、遺産分割協議によってBからAへB持分が移転し、売却によってBか らXへB持分が移転したことにするのです。つまり、二重譲渡として処理する のです。

したがって、この場合AとXは対抗関係にたちますので、先に登記を備えたほ うが所有権を主張できることになります。



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