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法定地上権・要件2




法定地上権の成立要件について、事例を挙げながら検討してみたいと思います。 最初に下記の事例を取り上げます。

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甲の所有する更地にAが抵当権を設定後、甲が未登記建物を新築した。その後、 Bが土地につき抵当権を設定し、その時点で未登記だった建物を登記させた後、 追加担保として建物にもBが抵当権を設定をした。さらにその後Aの抵当権は 解除になり、Bの申し立てにより、土地建物が競売になった。この場合に、甲 のために法定地上権が成立するか。
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この事例を時系列に並べると、

1、更地にA抵当権設定
2、建物新築(未登記)
3、土地にB抵当権設定
4、建物登記後、建物に抵当権設定(追加担保)
5、A抵当権解除
6、B抵当権実行

こんなカンジになるかと思います。


まず、法定地上権の成立要件としては、抵当権設定当時に建物があればよく、 保存登記はなくてもよいとされています。なので、建物が未登記かどうかは関 係ありません。

そして、ここで問題なのは、B抵当権設定時にB抵当権が法定地上権の要件を 満たしていることから、法定地上権が成立するかどうかという点です。

ちょっと考えてみましょう。まず、A抵当権は、設定時に建物がありませんか ら、法定地上権の要件を満たしません。更地に抵当権を設定しているのですか ら、Aは土地を更地として評価し、さらには法定地上権が成立しないはずだと 考えているはずです。


次に、Bとしては、B抵当権設定時には既にA抵当権が設定してあり、A抵当 権設定時に法定地上権の要件を満たさないので、法定地上権が成立しない土地 だと、考えるはずです。

ですから、ここで法定地上権を成立させてしまうと、Bの利益を害することに なってしまいます。確かに、A抵当権が解除されているので、法定地上権が成 立してもいいように思いますが、それはたまたまあとでA抵当権が解除された だけで、B抵当権設定時は解除されるかどうかわかりません。

設定時に土地を評価するわけですから、「設定時」を基準に考えないと、抵当 権者を害します。Bとしては、「抵当権設定時」には、A抵当権が解除される かどうかは不明です。そのような中、法定地上権が成立しない土地であったの に、のちのちの事情(A抵当権解除)によって、法定地上権が成立してしまっ ては、Bに酷です。なので、法定地上権は、成立しません。

ちなみに、上記事例が125346の順で事実が発生した場合には、法定地上 権は成立します。



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