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法定地上権・総論



法定地上権は、抵当権の中でもわりと出題しやすい箇所だと思います。実際、 資格試験のいろいろなところで出題されています。行政書士試験や公務員試験 受験生はもちろんのこと、他の試験の合格を目指す方も、しっかりと勉強しま しょう。


■事例■
Aが、ある土地を所有し、その土地の上に建物を所有して、そこに住んでいま した。Aは、B銀行からお金を借りるにあたって、その土地に抵当権を設定し ました。Aは順調にB銀行にお金を返済していましたが、ある時資金繰りに滞 り、返済できなくなりました。
そこで、B銀行としては、担保にとっていたAの土地を競売して、その代金を Aからの返済金にあてました。このとき、競落人はCでした。
■  ■


この事例を前提に、お話を進めていきましょう。
なお、競売とは、簡単に言えば売却することです。競落人とは、簡単に言えば 競売によって不動産を取得した人です。言うなれば、買主です。

このような競売がなされると、土地の所有者はC、建物の所有者はAとなりま す。建物には抵当権が設定されていませんでしたから、引き続きAが所有する ことになります。競売の結果、Aの建物は、他人のCの土地の上にのっかって いるわけです。

しかも、CとAとの間では、土地を利用することの約束などは何もなされてい ません。そうなると、Aの建物は、Cの土地を侵害していることになってしま います。Aには何も土地の利用権原がありませんからね。その結果、Aは建物 を移動させなくてはなりません。建物を移動させるということは、これは壊す ということです。建物を、そっくりそのまま移動させるということは、事実上 不可能だからです。

もしここで、CがAとの間で土地の賃貸借契約などを締結してくれれば、Aは 建物を移動させる(壊す)必要はありません。しかし、Cとしてはせっかく取 得した土地です。自分で土地を使いたいはずです。そうなると土地の賃借など するはずがありません。

しかし、すでに建っている建物を壊すということは、社会経済的に見て非常に 損失が大きいです。はっきり言って、もったいないです。

そこで、考え出されたのが、法定地上権という制度なのです。

地上権というのは、簡単に言えば他人の土地を利用する権利です。通常は、土 地の所有者と、土地を利用したいと思う人との間での契約によって成立します。

しかし、先ほどの例を見て下さい。

先ほどもお話ししましたが、新しい土地の所有者であるCは、Aを追い出した いと思えば、当然Aと賃借権や地上権を設定する契約なんて締結するはずがあ りません。

それでは、建物を壊さなくてはなりませんので、「特に法が定めた地上権」が 成立するのです。これが法定地上権です。建物を壊すということは、社会経済 的に見て損失が大きいので、なるべく建物を存続させたいという、要請がある わけです。

法で、Aに法定地上権という地上権の成立させ、そのまま土地の利用を認め、 建物を壊さなくてもいいようにしたのです。



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